いじめっ子Fと同級生O その③

隣国とのかかわりについて、ここで私の考えを披露することはするつもりは無い。
だた、日本で暮らすその国の人について2通りの対応の人を身近に見た。そしてそれに対するこの国の人の対応について、いろんなタイプの人を見てきたのである。
それらについて、肯定も否定もできないでいるのである。
あくまでそれは個人の価値観によるものであると思うからである。

ただ、思うのはFもOもそれなりに幸福に暮らしているのだろうかと言うことである。
幸福とは何か?
それは心の在り方次第であり、一概には言えないものではあるが。

いじめっ子Fと同級生O その②

高専で同じクラスにいた同級生Oは、Fと同じ境遇の人であった。
彼はそれを知らずに暮らしてきたのであった。

Oは謙虚でおとなしい人であり、努力家でもあった。
妙な口癖があった。一目を置く同級生を『〇〇先輩』と言うのである。
『M2先輩、これ教えてくれる?』
テストの後、そう言いながら自分が解らなかった問題を解いた奴に答えと考え方を聞いて回っていた。
私は、それによってより理解を深めることができたし、それよりも多くの『自分の山カンの精度』を認識するのであった。

ある日、一緒に昼食を食べていた時に、『同学年だからもっと対等に話したほうが良い。少なくとも俺にはそうしてくれ』と言ったことがある。
Oは子供の頃からずっと親から『謙虚に生きろ。腹を立てるな』と教えられていて、それが身に沁みついているのでできないと答えたのを覚えている。
実家がお寺とか、何かの教祖でもやっているのかとも思ったのであるが、特に気にしないでいたのである。

ある日のホームルームの時間だったと思う。
担任が『O君から、みんなに話したいことがある』と言うことでO君が語ったことは自分の出自についてであった。自分が二重国籍で、どちらかを選ぶ時が近づいていること、この前聞かされた自分の本名は〇〇であること、そして自分が下した決断について。自分はこのことを隠してみんなと付き合うのは誠実なことではないと思ったから告白することにしたと言うことを語った。そして、突然こんな話で驚かせたことを詫びたうえでこれまでと変わらず付き合ってほしいと話していた。

それを機に、陰でOのことを隣国の人たちを差別的に表現する言葉で呼んで馬鹿にする人が半数ほどいた。一方で、変わらず付き合う者も同じぐらいいた。
私はOの話の後でこう言ったことを覚えている。
『そんな話を聞いたうえで、今まで通り付き合うのは無理というもんやろ。あんな勇気を見せられたら一目置いてしまうやん。』

いじめっ子Fと同級生O その①

小学生の頃、私はいじめられていた。
その中心になっていたのがFであった。
彼は在日の隣国人であった(言われるまで知らなかったが)。
小学校の頃、そこそこ勉強ができて、運動神経が良くて、多くの取り巻きに囲まれていた。

小学6年の頃に数人にボコられた後、『お前の希望通り、1対1で勝負してやる』と殴り掛かってきた。
その時の私はリミッターが故障していたのか、『化け物』だったそうである。
その日以来、Fの凋落が始まったのである。

中学2年の学年末のある日、部活を終えて帰宅するときにFと鉢合わせしたのである。
何やら嫌なことがあったらしい。私に『何もかもお前のせいだ!』とか言いながら殴り掛かってきた。
ただ、不幸なことにその頃の私は『暴力方面で覚醒』してしまっていたので、その結末は言うまでもない。
怒りよりもめんどくささを感じた私は、Fに馬乗りになって私に向ける悪意を問いただした(詰問または拷問)。
Fの話では、私がいじめられることになったエピソード『人がいじめられているのをやめさせようとしたこと』が原因らしい。
彼は在日の隣国人であり、そのことに深いコンプレックスを抱いていたのである。そして、自分がしようと思ったことをストレートに行動に結び付けた私が妬ましくて憎くて仕方ないそうであった。

知ったことではないし、中学2年のガキに何とかできる問題でもないのである。
その後の面倒に対する予防措置として(そういう言い訳の下で)、仕返しする気を起こせない程度に殴っておいたのであった。当時の私もまた。心が荒んでいたのである。

深い話は別として、自らの出自が深いコンプレックスと怒りをもたらすことがあると言うことを実体験として知ったのであった。

ライバルチームのMさん

学生の頃、ハンドボール部に所属していることは何度か書いたと思う。
いつも地区優勝を争っていたライバル校のエースMさんは私のあこがれであり、目標だった。
その動きは『華麗』そのものだった。

地区大会が地元で開催されたのは、私がレギュラーに定着した年のことだった。
Mさんは最終学年であった。
地区大会は5チームの総当たり。上位2チームが全国大会に進出する。

この年も全勝同士で互いの最終戦で対戦した。
Mさんと私は互いをマークしあうポジションでプレイしていた。
Mさんにふり切られないように必死のディフェンスをし、Mさんとは対照的な泥臭いオフェンスで奮闘した。


新チーム発足時は戦力ダウンが深刻であった。
そのことは他所に、私はMさんとの対戦しか頭になかった。
私は下手くそだったので、身体能力で勝負するしかない。そう思って努力してきた。


試合の結果は引き分けであった。
私は、気力・体力ともに使い果たしてへたり込んでしまった。
そこにMさんが来た。
『参った。完敗だったよ』
Mさんが差し出した手をしっかり握った。

その左手の力強い感触を今でも忘れていない。
この世界では、努力で実現できることは少ないかもしれない。
一方で、真剣に努力しなければ手にすることができないものもある。

疲れた時には左手を見る。
先週も見た。
じっくり考えて、『まだ引き際ではない』と判断して、左手にあの時の感覚を思い出すのである。

Aさん

理系の学校に通っていた。
30年近く前のこと。
最終学年で、週の1/3から半分は卒業研究に充てられていて、教室にいるよりも研究室にいる時間のほうが長かったと思う。
私がいた研究室の教授は、就職担当窓口だったためか、研究室への来客が多かった。
通常は秘書的な女性がいて、その方が応対していたが、時々私を含め4人の学生の誰かが応対することもあった。

そんな中、年齢不詳の男性が何度かうちの研究室に訪れ、教授と何やら話し込んでいた。
自分と同世代にも見えるし、10歳ほど上にも見える。
何度か応対するうちに世間話をするようになった。

その人が同じクラスのAさんとは気づかずにいた。
Aさんは一つ上の学年から留年してきた人で、1年間病気療養していたそうだ。
普段、あまり交流はなかったが、専門科目での実験で同じ班だった。

梅雨に入る前あたりから、Aさんを見かけなくなった。
体調が悪いとのことだった。
そして、夏休みが始まったころからAさん(件の来客)がうちの研究室に訪ねてきた。
その頃には顔つきと言うか、人相と言うかが全く変わっていて、その人がAさんであることに全く気付かなかった。

当時、ハンドボール部の中心選手だった私は、練習や試合、研究、バイトと飛び回っていて、それを見ていたAさんは『M2さんを見ていると、なんだかこっちまで元気が湧いてくる気がする』と笑っていた。

秋になり、件の来客(Aさん)も見かけなくなった。

そんなある日、明け方に夢を見た。
夢の中で私はバイクで登校していた。
研究室のメンバーがかわるがわる私のバイクで校内を一回りしたりして楽しんでいた。
そこにAさんが来て、『僕も載せてもらっていいかな?』
と言うので、『免許持ってますか?』と聞いたが、持ってないとのこと。
じゃ、校外に出なければということで、キーとヘルメットを渡した。
しばらくグラウンド(結構広い)を走って戻ってきたAさんは『M2君は好きなだけ乗れるんだね。良いな~』と言い、私は『原付なら簡単に免許はとれますよ。免許取ったら、ツーリングに行きましょう。』と答えた。
Aさんは悲しげな表情で『もう何もかもが無理なんだ。ありがとう。さよなら。』と言って消えた。

そして私は涙を流しながら目を覚ました。

いつものように登校した。

朝一の講義の最中、Aさんの担当教授が来た。目が真っ赤だった。
彼が告げた『授業を中断して申し訳ない。…今朝、Aさんが亡くなった。』

Aさんは脳腫瘍に侵されていたそうであった。
なんとかうちのクラスで卒業したいと頑張っていたそうだ。

ところで、その日の早朝に見た夢が何だったのか、今もって謎である。
さらには、お調子者かつ粗忽物。一言でアホな私の夢になぜ現れたのか。
その点はさらに謎である。

憑依体質だからであったのだろうか?
他にそういう人がいなかったからだろうか?
だとしたら、なんか申し訳ない。
そんな思いからか、いい加減嫌になった雑用や仕事を投げ出せずにいる。
やってられない、馬鹿馬鹿しい。でも少なくとも自分は生きているのだから。
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一夢庵(M2)不便斎

Author:一夢庵(M2)不便斎
私の目の前の世界は、私が生まれてきた時に私に贈られたものである。
あなたもかつて世界を贈られたからこそ生きているのである。

私の世界は私が作り動かして行くのである。
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