いじめっ子Fと同級生O その②

高専で同じクラスにいた同級生Oは、Fと同じ境遇の人であった。
彼はそれを知らずに暮らしてきたのであった。

Oは謙虚でおとなしい人であり、努力家でもあった。
妙な口癖があった。一目を置く同級生を『〇〇先輩』と言うのである。
『M2先輩、これ教えてくれる?』
テストの後、そう言いながら自分が解らなかった問題を解いた奴に答えと考え方を聞いて回っていた。
私は、それによってより理解を深めることができたし、それよりも多くの『自分の山カンの精度』を認識するのであった。

ある日、一緒に昼食を食べていた時に、『同学年だからもっと対等に話したほうが良い。少なくとも俺にはそうしてくれ』と言ったことがある。
Oは子供の頃からずっと親から『謙虚に生きろ。腹を立てるな』と教えられていて、それが身に沁みついているのでできないと答えたのを覚えている。
実家がお寺とか、何かの教祖でもやっているのかとも思ったのであるが、特に気にしないでいたのである。

ある日のホームルームの時間だったと思う。
担任が『O君から、みんなに話したいことがある』と言うことでO君が語ったことは自分の出自についてであった。自分が二重国籍で、どちらかを選ぶ時が近づいていること、この前聞かされた自分の本名は〇〇であること、そして自分が下した決断について。自分はこのことを隠してみんなと付き合うのは誠実なことではないと思ったから告白することにしたと言うことを語った。そして、突然こんな話で驚かせたことを詫びたうえでこれまでと変わらず付き合ってほしいと話していた。

それを機に、陰でOのことを隣国の人たちを差別的に表現する言葉で呼んで馬鹿にする人が半数ほどいた。一方で、変わらず付き合う者も同じぐらいいた。
私はOの話の後でこう言ったことを覚えている。
『そんな話を聞いたうえで、今まで通り付き合うのは無理というもんやろ。あんな勇気を見せられたら一目置いてしまうやん。』
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