体育教師M

高専に通っていた5年間。
何故か全学年で体育委員をやらされいた。

体育教官室の先生たちとは顔なじみであった。
時々、心肺機能についての論文を書くための実験台にもされたりしたのである。

体育館はバレーボール部とバスケットボール部が使っていて、大会前の練習では日程の都合をつけてハンドボール部も使っていたのであるが、体育館の管理者はバスケットボール部の顧問でもある体育教師Mであった。

昼休みは体育館が解放されており、昼飯を素早く片付けて場所取りをする(早い者勝ち)。うまくいけば体育館の半面を使ってバレーボールができる。そんなある日、場所取りしていたやつが後ろから話しかけてきた。
足元は視界に入らなかったのであるが、土足だったようである。それを見かけた体育教師Mに呼ばれて体育教官室に行った。

私が土足で入っている者を見逃した。だから、私のクラスは体育館の使用を禁止。そして、ハンドボール部の体育館使用の禁止も考える。そう告げられた。
一通り謝罪したうえで、クラスは仕方ないとして、ハンドボールは違うのではないか、そう訴えたが聞き入れてもらえなかった。
視界に入っていなかったといっても聞く耳を持ってもらえなかった。

『遠くから見ていた俺が気付いたのに、至近距離のお前が気付かなかったということは見逃したとしか思えない』

そういうことであった。

『先生、私の顔から眼を離さないで、私が右手に何を載せているか分りますか?』
『そんなもの、見えるわけないだろ!』
『では、私が履いている靴は何色ですか?』
『だから、見えないと言ってるだろ!』
『わざと見逃しているわけではないんですか?』
『・・・・・』
『教務主事に今の一件を相談してきます。少なくともハンドボール部のことは越権行為だと訴えてきます』

慌てた体育教師Mに引き留められ、説得された。
自分も感情的になっていて言い過ぎた。管理者として体育館を大切にしていることを考えてくれ。
結局おとがめなしであった。
その後、私は体育教師Mを『筋肉脳のバカ教師』として見下げていたのである。

数年前、高専でお世話になった先生の退官記念パーティーで隣の席になった後輩(面識なし)と話をしていて、体育教師Mを知っているか聞かれた。彼はバスケットボール部OBである。

彼の話によると、体育教師Mは時々私の話をしていたそうである。
さぞかしけなしていたかと思えばものすごくほめていたそうである。
あの時の私は、かなり失礼な物言いであったと思うが。

一本取られた次第である。
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