妙にストーリー性のある夢③

やがて、村人には私に対する恐怖心は薄れて行ったようである。
私は相変わらず、村人とは距離をとっている。あわせる顔が無いのだ。
村人たちも察してくれているのか、距離を保ってくれる。
時々、あの少女は私に会いに浜辺に来る。
時には少し話をすることもあった。

やがて少女は大人になり、母となった。
子供たちは大きくなり、多くの孫に恵まれた。
私はその姿を見守りつつ、自分の力の衰えを感じていた。

老婆になったあの少女が浜辺に来た。
『俺の力は尽きるようだ。もう村人を見守ることはできないかもしれない。許しておくれ』
そして、しばらく老婆と取り留めのない話をした。

老婆 『まったく、あんたは強情なんだから』
私 『多くの人を泣かせてきた私には泣く資格は無い』
老婆 『それ以上のことをしてくれたじゃないの』
私 『私がしたことは消えはしないし、私の所為で死んでいった人は戻りはしない』
老婆 『人の体は消えても魂は帰ってくるのさ。最期ぐらい自分のために泣きな』

私は老婆に顔を抱かれながら一粒の涙を流し、息絶えた。
私の体を離れた私は村の西にある岬から海に潜った。
その後、弱い地震があり、村の浜辺を抱くように岬が伸びた。
少なくとも村は大波にのまれることはない。

(完)
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1. 泣いた

。・゜・(ノД`)・゜・。

2. Re:泣いた

>あやにゃんさん

読んでいただき、ありがとうございます。
実は、この数日後に貴志祐介の『青の炎』の文庫本を書店で目にして、買って読んだのですが、その本で江の島の『五頭龍』の伝説を知りました。
そのこともあって、印象に残っているのだと思います。
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一夢庵(M2)不便斎

Author:一夢庵(M2)不便斎
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