烏骨鶏

うちにいた烏骨鶏は、前の記事に書いたようにパック入りの有精卵から生まれたのである。


頂き物の有精卵を家族で一つづつ食べ、1個余った。

何故か、『暖めてみるか』と言うことになった。

無論、調理以外の目的である。


その頃は知らなかったのであるが、卵の殻を覆う粘液状の物質が卵の呼吸を助ける作用を持っているらしい。そしてその物質は、洗い落とされるのが普通である。

だから、食用として市販されている有精卵からヒヨコが生まれるのは奇跡に近い。


ある日、いつものように卵の様子を見ていた時に感じたことである。


昨日まで、物だと感じていた卵が、生き物としてしか感じられない。


と言う、謎の感覚であった。

確かにその前日までは賞味期限間近の食品であった。

そして、食べ物を粗末にしたという罪悪感もあった。

だが、その日は何の根拠もなくヒヨコが生まれてくるという確信はあった。


そしてその結果は言うまでもない。

生まれつき、足の指が曲がってはいたが、過酷な条件を乗り越えて立派に育った。

何度か卵も産んでくれた。

一緒にいたニワトリ(男)は、いい年こいて『お子ちゃま』だったので、確実に無精卵であったのだが。


家内のことが一番好きで、ありえないぐらい甘えていたのを今でも思い出す。


烏骨鶏が死んだのは、昨年の夏に私が富山に単身赴任した直後のことであった。

そして、しばらくそこに馴染むまでの間、マンションに帰ってきたら烏骨鶏の羽が落ちていたことを覚えている。


この子のおかげで、私は科学と言うものがますます信じられなくなってしまったのである。

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