ウルトラ一家 ⑤
夢の中で、私は地球で調査活動をしていた街にいた。
そこは、既存のどんな社会とも異なる社会で、簡単に言えば独裁政治であった。
しかし、独裁者と言う者はいないし、一党独裁するような政治組織もない。
強いて言えば『みんな』が独裁する世の中であった。
そこに住む者は自我意識が無く、『みんな』が決める方向に自然に流されていく。
そういう世界であった。
そしてそこでは当然ながら反対者はいないので、見方によれば平和な世の中である。
そして、不気味で恐ろしい社会である。私にとってはであるが。
街を歩いていると、住人達(中には調査活動の中で『ご近所』として知りあった人や友人となった人もいた)が私を見てひそひそと話し合っているのに何度か出くわした。
しばらく歩いていると、警察官が近づいてきた。
気が付いたら囲まれていた。
警察官の中には顔見知りの巡査もいたが、彼らには一様に表情は無い。
一人が『所まで同行願いますか?』と声をかけてきた。
本能的に危険を感じた私はとっさに逃げ出した。路地に逃げ込んだとき、何か霧のようなものに包まれた。ありきたりな展開だが、気を失ってしまった。
気が付けば、マンションのようなところで寝かされていた。
そこにいた男が言った。
『ここでは自我を持つことは危険視されるんだ。平和を乱す危険分子と見做される。』
突然、爆音とともに壁が崩壊した。
天井が屑手落ちてくる。
そこで目が覚めた。