空き缶③

帰宅すると妻は起きていた。

妻は言う。

顔色が悪い。疲れているのではないのか。できることなら、少し休んだほうがいい。少なくとも仕事を減らしたほうがいい。


そんなことを矢継ぎ早に言う。

言われなくてもわかっているが、自分がこうして働いているから今の暮らしがあるのだ。

疲れているのだから面倒なことを言わないでほしい。

うるさくなって怒鳴りつける。


翌朝、疲れが抜けきらない。

いつものことだ。

軽く頭が重く、鈍く痛むのもいつものことだ。

少しすれば治まるだろう。


そして今日も遅くまで働く。

そしてふと思う。

家族を養うために働いているつもりなのだが本当にそうなのか?

自分の出世欲のために働いているだけではないのか?

これでいいのだろうか?


ぼんやり考えていると、机の上に昨日の缶コーヒーの空き缶があるのに気付く。


周りを見ると、あの窓のない部屋にいた。

そこで、高次の自分と話す


高次の自分 『そこで改心したら台無しになる。中途半端がいけない。なぜなら、中途半端に悪を知ると取り込まれやすくなるから』

私 『正直つらい。エネルギーが消耗してくると、どうしても改心しそうになる。だから時々こうして助けてもらえるのがありがたい』


高次の私 『悪と対峙する能力を身に着けるには悪を知り尽くさなければならない。これから最悪の選択をしつつ生きてほしい』


私 『わかった。』


<続>

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