来世を守る夢  ⑤古いブログ

かなりやばいな。
たぶんこれが最後のチャンスかもしれない。
上手くやってくれ。
この前、お前が『死ぬ』と言ったが、正確には『居なかったことになる』と言う意味だ。
だからお前のことは『不思議な夢を見た』程度にしか覚えてないだろう。
とにかくもうすぐ方向が決まる。
奴らはすべて手を打って、ニヤニヤしながら見守っている。
鼻を明かしてやれ!


上位存在にそうたたみ掛けられて目を覚ました。
ほんの数十秒ほど眠ったらしい。
麻里子が心配そうに見つめている。
『大丈夫だ。どうしても今、話していきたいことがある。哲郎を読んで欲しい。あと、PC化タブレットを持っていたら貸して欲しい』

麻里子がメールで私が倒れたこと、すぐに来てほしいという事を伝えてくれた。
急いでこっちに向かうが、1時間ほどかかるらしい。

それまで待てる自信は無い。だから麻里子に話すことにした。

『FC2アーカイブ』というサイトにアクセスしてくれ。そこには10年以上前に更新が止まった古いブログが保管されている。
もともと公開されていたものなので、閲覧自由だ。
『自称 哲学者! 一夢庵』というブログの2017年5月後半の記事を見てくれ。
その中から『来世を守る夢』というタイトルの一連の記事を読んでみてくれ。
それが、俺がここにいる理由だ。


麻里子がタブレットを操作して、記事を読み始めた。
麻里子? 哲郎? 小説家の一夢庵?
これって一体?

…麻里子がメールで私が倒れたこと、すぐに来てほしいという事を伝えてくれた。
急いでこっちに向かうが、1時間ほどかかるらしい…。これって、今のこと?


俺は頷いた。ポケットから運転免許を出して麻里子に見せた。
俺の本名は〇〇(私の本名)。あなたと人生を共にするかもしれない。
あなたを母として生まれ変わってきたい。私の世界での親兄弟が嫌いだからじゃない。
あなたに見守られているときの安らぎ、哲郎と3人でいるときの満ち足りた気持ち。
そこに戻ることができるのなら、俺の世界でのどんな苦労にも耐えることができると思う。


私の意識はそこで途切れた。
また眠ってしまったのだと思う。

気が付くと麻里子の膝に頭を載せる形で横たわっていた。
麻里子に見守られていた。
麻里子の目から落ちた涙が私の頬を流れた。

哲郎が来た気配を感じた。
玄関のセキュリティーシステムが哲郎の指紋と網膜を認証して、鍵が開く音が聞こえた。
拓郎の足音が聞こえる。
今にも消えそうな意識の中で麻里子に語りかけた。

将来を共にするべき人が誰かわからなくなったとき、そうするべき人が現れる。それは今だ。

意識が薄れていく。懸命に麻里子に伝えた。『哲郎が来たら、このサイトを見せて欲しい。』
目が見えなくなった。辛うじて音は聞こえる。
『これって2017年に・・・かれた・・・がいないよね』
『・・・つろうの・・・にも・・・送っておく。私たちの記憶・・・てもPCには・・・から』

とぎれとぎれの彼らの会話を聞きながら、私の意識は消えていった。

続きを読む

スポンサーサイト

来世を守る夢  ④危機

麻里子が仕事の都合で、会う約束をしていた時間に頻繁に遅れるということに対して哲郎はさほど気にもしていないし、仕事なら仕方ないと思っていたのだが、無意識に不満を募らせていた。仕事とはいえ、別の男と会うために送れるということが続くと、どうしても嫉妬を感じてしまう。哲郎はそんな自分が嫌で仕方なかった。
その一方で、哲郎が私に不快感や嫌悪感を持っているということは無く、むしろ離れがたいような感情が芽生えていた。
麻里子にしても、哲郎を一番大切に思いつつ、私を放っておけないような感情があり、ついつい哲郎を後回しにしてしまうようである。その結果、3人で会うことが次第に増えていった。
麻里子と哲郎の関係がギクシャクする原因が私と言うだけなら私が消えればいいだけであるが、現状で彼らをつなぎとめているのは私である。非常に難しくて面倒な状況である。

両親と兄弟の上位存在もこのところいろいろと働きかけているようである。哲郎との関係がかなり悪化しているようである。そんなある日、麻里子はリアルな夢を見たらしい。一つは『白い光に包まれた人物が、”将来を共にするべき人が誰かわからなくなったとき、そうするべき人が現れる”と言う言葉を残していった夢』、そしてもう一つは『(夢の中での)親しい人から”あなたの運命の人は〇〇(私の本名)と言う人”と告げられる夢』だそうである。
それ以来、麻里子の気持ちは私に向かいつつあるようだが、非常に不味いことになった。

その頃、私の体調はあまりすぐれなかったのである。
昼間から激しい疲労を感じて、気が付いたら眠ってしまうことが時々あった。
そんな転寝で見た夢の中で、私は上位存在から説教されていた。

まったくお前はアホか?事情を説明してわかってもらえるように努力したら手っ取り早いのがわからないのか?勝手に『事実を知られたらダメ』設定を作るな!
あと、言っておかなければならないことがある。今回の件で、お前の世界の進む方向が定まったら、お前はこの世界で死ぬ。ただし、お前がこの世界で生きていく決心を決めたら死ぬことは無い。この世界の住人となる。自分の世界の方向を決めるのはお前の自由だ。


体調が悪いという事は、私の世界の方向が決まりつつあるということだろう。
このままダラダラしている訳にはいかない。

その翌日、麻里子が原稿を取りに来た。
原稿を手渡した後、雑談をしていた時に私の意識が途絶えた。

続きを読む

来世を守る夢  ③友人

小説のネタを思いつくのは外をウロウロしているときか、体を動かしているときがほとんどである。
執筆中以外は毎日徒歩10分ぐらいのところにあるジムで体を動かすことにしている。
メモを片手にランニングマシーンに乗り、走りながら時々何かを書いている姿は、地味ながら目立つのかもしれない。
哲郎も私が何をしているのか気になっていたそうで、話しかけてきた。
一通り説明すると、『それで時々メモしながら目が逝ってたのか』などと変に納得していた。
それ以来、友人として付き合っていた。
友人と言ってもジムで親しく話をする程度だが、私にとってはその程度の距離感が心地いいのである。
特にこの世界では人と深く付き合うのは危険である・・・ような気がする。

ある日、哲郎が『飯でも行かないか?』と誘ってきた。
ことわる理由がなかったので行くことにした。
付き合っている女性がいて、出版関係の仕事をしているので、紹介したいらしい。

当日、そこにいたのは哲郎と麻里子であった。

続きを読む

来世を守る夢  ②作家

その世界で、私は『作家 一夢庵 不便斎(本名:公開せず)』であった。
2000年前後を題材とした『世紀末モノ』というジャンルで頭角を現しているという設定であった。
『世紀末モノ』は、現在でいうところの幕末当たりの歴史小説+スピンオフのような位置づけのようで、コアなファンが多いジャンルであったようである。
人気の作品は『技術者シリーズ』と言われる、2000年前後の、とある変わり者の技術者の日常を描いたもので、『緻密な時代考証とリアルな世界観に基づく、独特な主人公の言動』が売りの作品であるが、要は私の実体験である。
このシリーズの担当編集者が、私の母親となる予定の『麻里子』である。
この一風変わった作品が人気シリーズとなったのは、麻里子の尽力によるものである。

かれこれ1時間余り麻里子を待たせている。ストーリー自体は自分のこっちでの世界の実体験に脚色を加えるだけなので困ることは無いが、どうしても文章が技術的な報告書のような口調になってしまう。その独特な言い回しが売りとは言え、限度がある。
いつもそれで悩むのであるが、麻里子に助けられることは少なくない。
かなり苦労を掛けていると思うのだが、麻里子はそれに生きがいを感じる部分があるという。
自分に子供ができたら、多分こんな風に面倒をみるんだろうな。などと言うのであるが、それはそうだろうと思うのである。
だが、そのことを口にするわけにはいかない。
私は、『お母さん』と言うものを知らない『(大阪の)オカン』なら知っている。
『お母さん』という存在は、こんなにも安心を与えてくれるのだと初めて知ったのである。

さらに1時間以上待たせたうえで、ようやく今回の原稿を仕上げることができた。
麻里子には婚約者がいて、今日は会う約束をしていたのだが、私の所為で待たせているらしい。
彼は、麻里子の仕事に理解を示しているものの、こういうことが度重なれば、感情が拗れても仕方ないのである。
どうも最近、うまくいっていないようである。
麻里子には円満に結婚して、私を無事に生んで欲しいものであるが、その足かせが私なのは、上位存在の設定に悪意を感じざるを得ない。
私の成長を願っての無茶振りだろうと思うものの、こういうところをオカンが利用したら厄介である。
そのあたりの空気を読めないのは、流石に私の上位存在である。

続きを読む

来世を守る夢  ①分岐点

今朝方、長くて鮮明な夢を見た(総天然色)。
はっきり覚えているのは最後の部分といくつかのシーン、全体像だけである。
『風の声を聞く男』の時と同じように、少しずつ思い出す(のか潜在意識の素材を基にした創作?)ことになるだろうと思うのである。
そのために必要なのは、この夢の全体像を知り、意味を知り、書き残したいという意思と、深い思考だと思うのである。

夢の中で私は、家内と家内の両親と一緒に車で30分ほどのショッピングセンターにいた。先日の連休に実際に会った風景である。私はその日、胃腸の不調のために一人でトイレに行ったのであるが、その場面であった。
トイレを出ると一人の男が近づいてきた。うっすら光っているようであり、その男だけが明るく浮き出しているようにも見える。この世界とは異質の存在であることは明らかであった。

ちゃんと手を洗ったか?
いきなりで信じがたいと思うが、俺はお前の上位存在だ。
それぐらい受け容れられる程度に頭が柔らかくなっていると思うが、大丈夫だよな?
今、お前の世界は分岐点に差し掛かっている。
お前の両親と兄は魂レベルでお前を気に入っていて、来世でもかかわりを持ちたいらしい。
そのために、お前の世界の次元を下げる必要がある。
あの人たちの上位存在が、少々強引な手を使っているようで、お前がそれを放置するか、阻止するか、行動を起こさなければならなくなった。
どうするかね?


私は、自分の両親と兄弟は好きではない。
できることなら来世での関わりは避けたいと思う。
以前、あるチャネラーの方から聞いたことだが、私は本当は数十年後に転生する予定だったところを何かを思い出して強引に転生してきたのが今世であるらしい。何かすべきことがあるということで、急に思い立っての行動だったそうである。たまたま、過去に何度かかかわりがあった兄の転生に便乗させてもらったとのことであった。両親や親戚たちとは一度もかかわりがなかったらしい。
私は、十代の中ごろに付き合っていた女の子がいて、18歳の夏が来る前にバイク事故で死んでしまったのであるが、あの男によると彼女は来世での私の母になる人で、私のことを心配して転生し、私の無事を見届けてこの世を去ることにして、予定外の転生をしたそうである。私と違い、きちんと手続きをとってのことだったそうである。
どうも、私の両親の上位存在は、彼女のその転生を利用しようとしているらしい。彼女の来世を捻じ曲げようとしているそうであるが、それを阻止することが私に課せられたことである。

あの男は言った。

あくまで、お前の世界と言うことで、映画やドラマのヒーローのようにこの世界を救うというような大層なものではない。阻止してもそのままにしてもどっちでもいい。あっちの世界で好きにやっても良い。そのことでお前が面倒を背負い込むだけで、おれはお前のサポートがちょっとめんどくさくなるだけ。気楽にやってくれ

すべてが終わった後に、このことを夢で見るらしい。結末はわからないが、その朝に不穏なニュースを聞き、阻止できていなかったらそれをきっかけに、世の中が急変するそうである。


目の前からあの男が消え、同時に私の視界も暗転していった。

続きを読む

プロフィール

一夢庵(M2)不便斎

Author:一夢庵(M2)不便斎
私の目の前の世界は、私が生まれてきた時に私に贈られたものである。
あなたもかつて世界を贈られたからこそ生きているのである。

私の世界は私が作り動かして行くのである。
私の世界の操縦桿を握るのは私だけ。

あなたの世界は?

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事
最新コメント
カテゴリ
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
フリーエリア
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
検索フォーム
リンク
来客者数